機械構造部品に適用されている中炭素鋼は、一般に焼入・焼きもどし(調質)を施して使用されています。この調質鋼の代替として、鍛造−空冷、または圧延−空冷のままで従来鋼の調質鋼に匹敵する性能を持たせる鋼が非調質鋼です。このような鋼は、単に調質コストの削減のみではなく、製造工程中のハンドリング回数や運搬コストの低減も期待され、省エネルギー用鋼として普及してきています。
▲非調質鋼(MA-45)
通常、機械構造用炭素鋼と合金鋼は焼入れ焼戻しの熱処理を施すことで最良の機械的性質を示します。
ここで、焼入れ焼戻しについてその操作をもう少し詳しく言いますと、850℃前後のオーステナイト相域まで加熱された鋼を急冷してマルテンサイト相にすることを“焼入れ”、焼入れた鋼を550〜650℃に再加熱することを“焼戻し”と言います。この熱処理により機械的性質を調整することを調質熱処理と呼んでいます。熱処理はエネルギーコストが高く、炉などの設備投資が必要であり、大きな構造物では実際問題として熱処理できないことがあります。熱処理なしでも高い強度を得られるものが、非調質鋼と呼ばれる合金鋼です。一般的な非調質鋼は炭素鋼にバナジウム(V)を添加したもので炭素鋼の調質材の代替向けですが、中には合金鋼の調質材並みの強靭性を示す物もあります。炭素鋼の焼入れはマルテンサイト相に組織を変えますが、非調質鋼はパーライト相、フェライト相の混合組織の中に微量なバナジウム炭化物(VC)が析出して強化されたものになります。(パーライト相とはフェライトとセメンタイト(鉄炭素化合物Fe3C)が非常に薄い層で交互に並んでいる相です)また、焼入れのみを行い焼戻しを省略する“準“非調質鋼と呼ばれる鋼もあります。
▲SCM調質材(SCM 435HT)
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